上半身のロール方向の傾斜運動に対してリダイレクション操作で用いられる回転ゲインを適用し、実空間よりも大きく回転する錯覚を調査した。

本研究ではロール軸の回転感覚を増幅させるために、上半身のロール方向における傾斜運動に対してリダイレクション操作で用いられる回転ゲインを適用し、実空間よりも大きく回転するVR空間の映像を提示した。加えてVR空間と順方向に回転するオプティカルフロー刺激を重畳して提示した。座位姿勢で5度の能動的傾斜運動を発生させそれに対して様々な回転ゲインを適用した実験を行い、二肢強制選択法を用いて回転ゲインの知覚閾値を調査した。その結果から、実空間における$5,\mathrm{\tcdegree}$のロール方向の傾斜運動を最大で約5.8倍まで、観察者に知覚されずに増幅可能であることが示された。またオプティカルフロー刺激を提示することで知覚閾値が増加したことから、VR空間と順方向のオプティカルフローを発生させる視覚刺激を追加することで、より大きなゲインを適用可能になることが示唆された。

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  • 奥谷 哲郎, 中西 泰人. (2025). オプティカルフローを用いた上半身のロール軸回転の増幅. 日本バーチャルリアリティ学会論文誌. 30巻, 1号, p.117-124. https://doi.org/10.18974/tvrsj.30.1_117.

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